スティーヴン・レヴィの「iPodは何を変えたのか?」を読み終わった。
iPodの開発秘話と、その後の社会現象、そしてこのアイテムが備えている魅力そのものに迫る。
まず、iPodの開発話が面白い。
はじめはアップル(というかジョブズ)ですら、
ただのMacの周辺機器として売ろうとしていたらしい。
それでもちゃんと軌道修正して世界一のデジタル・プレーヤーに育てるんだからすごい。
ちなみに、あの感動的なホイールは上級副社長からのアイデアだそうだ。
そしてやはりスティーヴ・ジョブズの、
物作りへの恐ろしいくらいの情熱が注ぎ込まれた物体だという描写がこれでもかと出てくる。
ああいうリーダーはどこから出てくるのかねえ。
この著者は「Macintosh物語」という本(もちろん僕は持っている)まで書いているぐらいなので、
かなりアップル賛美の内容になっているけど、面白いのでゆるす。
それにしてもこの著者の人脈はすごいな。
ビル・ゲイツに出たばかりのiPodを見せて感想を言わせたりしてるし・・・(そして褒めまくるゲイツw)
iPodの独走をゆるしてしまった他の企業はこれからどうするんだろう・・・。
ソニーやパナソニックのプレーヤは「機械としてはおもしろい」レベルにとどまってしまっていると思うし。
(これってVaioと一緒では・・・。あ、PS3もか)
ソニーのぐだぐだ具合を描写してる箇所もあって、これも面白い(ソニーCEOのストリンガーも認めているんだね・・・)
エレクトロニクスとメディアの両方の会社を持ってたから、
テクノロジと著作権保護でこじれて、統合が逆に機能しなかったということ。
エコシステムまで持って行けなかった悲劇。
これじゃあ一般のひとは使わないよな。
最近のアップルは誰もまねできない(しない)垂直統合のメリットと、
オープンなものを使う姿勢を絶妙に使い分けている気がして、
その辺のさじ加減が全体としての強さに繋がっていると思う。
ユーザインターフェイス(広い意味でも狭い意味でも)の革新はこういう姿勢からしか作れないのではないか。
と、インターフェイスの論文を読みながら考えてしまった。
えーっと、本の内容に戻ると、
シャッフル機能がiPodにパーソナルな感覚を抱かせる、という項がおもしろかった。
曲をシャッフルするのは完全にランダムなのに、そこに法則性を見いだしてしまう人間が多いのだ。
iPodが好みを完全に把握して、今聴きたい曲を出してくれると信じてる人、
いつも特定のアーティストしかかからないとぼやく人。
みんなシャッフル機能を、本来より大きく感じてしまっている。
(このトピックは情報科学と認知科学をかじるとよくわかると思う)
この機能に対する問い合わせがあまりにも多いため、
結局アップルは完全なランダムさを捨てて、分布をいじれる機能を付けた。
その方がランダムに感じるひとが多いそうだ。
なんかこれだけで論文書けそうだね(もうあるのかも。調べてない)
ちなみに、僕は今までシャッフル機能って使ってなかったんだけど、
さっき使ってみたら、面白いね、これ・・・。
本を読んで一番特をしたのは実はこれかも。
iPodの一人勝ちがいつまで続くのかわからないけど、
ここまでシステムを発展させた以上はもうしばらく寡占が続くであろうと思います。
MySpaceやmixiで持っている音楽を自己表現として使う、
というトレンドをiPodがどう取り込むかが気になるところです。(たぶん無線だろうなあ。でもそれってZune・・・)
とりあえず、音楽に目を付けたアップルは偉い、ということで。
以上、Macオタクのアサノでした。

“iPodは何を変えたのか?” (スティーブン・レヴィ)

“マッキントッシュ物語―僕らを変えたコンピュータ” (スティーブン レヴィ)
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